今回は、白内障手術に関して、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。
No.144の事案では、病院側は、患者が睡眠導入剤を病院に無断で服用したことにより、眼内炎の症状を的確に捉えることができず、診断が遅れた可能性があるとして、過失相殺を主張しましたが、裁判所は、患者が睡眠導入剤を服用したことにより、どのように病状を捉えにくくなったのかについては具体的な主張立証がないとして、病院側の主張を採用しませんでした。
No.145の事案では、予定されていた手術の前日まで、大学病院の眼科学教室主催の学会が病院の近くの会場で開催されていて、医師らが出席しており、予定を繰り上げての緊急手術が実施されませんでした。
この点につき、裁判所は、学会は病院のすぐ近くの会場で開催されていたから、病院へ戻って緊急手術を実施することも可能であったと考えられるし、仮に学会への出席を優先するのであれば、当局医に執刀させるなどの応急措置を講じることが、当然の義務であると判示しています。
両判決とも実務の参考になろうかと存じます。