医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.14、15】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、最高裁判所の判決(上告審判決)からご紹介します。

一審、控訴審と異なり、上告審では控訴審の原判決が適法に認定した事実を前提として、控訴審の法律判断について審理します。

最高裁判所が上告審となるのが原則ですが、この場合、上告理由は憲法違反や重大な手続法違反に限定されています。そして、上告理由には該当しないけれども、原判決に判例違反などの法令の解釈に関する重要な事項が含まれている場合には、当事者は上告受理の申し立てをすることができます。そして、この申し立てに基づいて上告受理決定がなされると、上告があったものとみなされて、上告審で審理がなされます(今回ご紹介する判決は両方とも、上告受理の申し立て、上告受理決定を経たもののようです)。

上告が正当と認められたときは、原判決が破棄されます。破棄判決には大きく分けて破棄自判と破棄差戻しがあります。

破棄自判は、確定した事実について憲法その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合で、新たな事実の確定をしなくても、それまでに確定した事実に、正当な法の適用をすれば、判決をすることができるときなどに行われます。

破棄差戻しは、事件を原裁判所(控訴審)に差戻し、事件についての裁判を行わせるものです。このとき、破棄された原判決に関与した裁判官は、差戻し後の控訴審に関与できません。

更に、上告審が破棄の理由とした事実上の判断や法律上の判断は、差戻された裁判所を拘束します。

今回ご紹介する判決は両方とも、医師の過失を認めた上で破棄差戻しをしていますから、控訴審は医師に過失があるという上告審の判断に拘束されることになります。

カテゴリ: 2004年1月28日
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