今回は、豊胸手術の再手術に関する医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。
両判決の事案とも、第1回目の手術の結果が芳しくなくて2回目の手術に至ったのですが、裁判所は2回目の手術における過失だけを認めました。
また、その後他院で両胸についてさらに手術を受けているのですが、裁判所は片胸だけについての費用を損害と認定しました。
両判決とも、損害賠償の範囲にあたって、裁判所は医師の債務不履行や過失と「相当因果関係」のある損害に限って認めています。「因果関係」そのものは、Aという事実がなければBという事実もなかったであろうという関係が認められれば、存在することになるのですが、それではことわざにいう「風が吹けば桶屋がもうかる」といった具合に無限に広がっていきかねません。そこで、損害賠償を相当の範囲に限定するために、「相当性」の要件を用いているのです。
両判決とも実務の参考になると思われます。