医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.124、125】

今回は、いわゆるガイドラインが訴訟において取り上げられた事案を2件ご紹介します。

No.124の裁判では、原告(患者)側からクモ膜下出血の診断方法について平成13年3月付けの厚生省ガイドラインが証拠として提出されています。判決文で具体的なガイドラインの引用はされていませんが、当時の医学的知見を判断する際に考慮されているものと思われます。

No.125の裁判では、ガイドラインの内容に沿った説明がなされなかったとして、医師の説明義務違反が認められました。その一方でガイドラインを発表しフォローアップ事業を展開している学会には、医療機関がガイドラインを遵守しているかどうかを監督する義務はないとの判断が下されました。

様々な機関が多種多様のガイドラインを発表している現状において、参考になる判決と思われます。

なお、No.125の事案の当事者である学会は、「有限責任中間法人」として法人格を有しています。これは、「中間法人法」という法律に基づいて設立された団体で、法律上の定義としては「社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団」で、有限責任ということは、社員(構成員)が法人の債務について対外的な責任を負わないということです。

中間法人法は平成14年4月1日から施行されており、学会や同窓会など、営利を目的としない既存の団体が法人格を取得することが可能となりました。

カテゴリ: 2008年8月12日
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