医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.118、119】

今回は高齢者の誤嚥に関して、病院・施設側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。

両判決とも、誤嚥から窒息の後9ヶ月から10ヶ月程度経過してから死亡に至ったという事案です。No.118では、誤嚥と死亡との因果関係は否定され、葬儀費用の損害賠償は認められませんでしたが、No.119では因果関係があることを前提に、逸失利益や葬儀費用についても損害賠償の対象となりました。

なお、No.119で、死亡した患者の慰謝料の算定にあたり、患者がもともとおにぎりを食べたいと希望したことや、看護師からの勧めを拒否して義歯を装着しなかったことなどの事情も考慮されました。

また、両判決とも、遺族として複数の法定相続人がいますが、No.118では、相続をした3名のうち、2名だけが訴訟を提起しました。No.119では、遺言によって、相続人のうち一人が全財産を相続しており、その相続人が訴訟を提起しました。

どちらの判決も実務の参考になると思います。

カテゴリ: 2008年5月14日
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