医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.114、115】

今回は腎不全に関連して、病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.114の判決は、一審判決後、控訴がなされ控訴審で和解が成立しています。

なお、この事件では、血液B検査の検査結果がいつ出たかについて、病院側は26日中には出ていないと主張しましたが、裁判所は、検査報告書の報告の日付欄に機械印字で、「54 10 26」という印字があることから、検査報告書は(昭和54年10月の)26日中に作成されていたと認定しました。

No.115の判決紹介にあたっては、一審の判決宮崎地方裁判所平成8年3月18日判決(判例タイムズ927号202頁)も参考にしました。

No.115の事件は一審判決に対して、医師側が控訴し、患者側がさらに附帯控訴しました。

附帯控訴というのは、控訴された側が提起することのできる不服申立です。通常の控訴と違い、控訴期間(判決を受け取ってから2週間以内)を経過したあとでも、控訴審の口頭弁論終結までの間であれば提起することができますが、その場合には、控訴の取り下げがあると附帯控訴も効力を失います。

今回の件では患者側一部勝訴の判決に不服の医師側が控訴して、敗訴の取消しと患者の請求棄却を求めたのに対し、患者側が附帯控訴で、損害賠償額の増額を求めました。

そして、控訴審は、患者側の附帯控訴を一部認めて、損害賠償額を一部増額したのです。

両判決とも、実務の参考になるかと存じます。

カテゴリ: 2008年3月18日
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