今回はアルコール中毒に関連して、医師側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。
No.110判決に出てくる「監獄法」は、現在は「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」に改められています。また、受刑施設の非常勤嘱託医師が、副看守長からの電話での報告を受けて、本人を直接診察することなく、薬剤(レンドルミン)投与の指示をした点については、医師法違反の無診察治療にあたると判示しました。ただし、治療(レンドルミンの投与)そのものが本人の死亡を招来したとはいえないとして、無診察治療自体が注意義務違反とは認定しませんでした。
No.111判決の事案では、当初被告は国だったのですが、判決の時点では独立行政法人国立病院機構が被告となっています。これは、平成16年4月1日に独立行政法人国立病院機構が発足したことに伴い、国から独立行政法人国立病院機構に権利義務が承継され、本件の当事者たる地位も独立行政法人国立病院機構が承継したからと思われます。
どちらの判決も実務上の参考になるかと思います。