今回は、専門科目外の医療に関する過誤について、医師側の責任を認めた判決を2件ご紹介します。
No.106の判決紹介にあたっては、一審の判決も参考にしました。
No.106では、開業医の注意義務違反による転院先での手術の遅れがなければ、患者に後遺症が生じなかったとまでは言えないが、より早期に手術を受けていれば後遺症がより軽度のものにとどまったということが認められるとして、慰謝料の賠償義務が開業医に認定されました。
No.107では、県立病院の過失がなければ、患者の死期が遅れた可能性は高いとして、過失と死亡との間に因果関係があると認定しましたが、損害の算定にあたっては、患者のC型肝炎が、来院時に既に高度に進行していたことなどから、病院の過失がなくても、患者がC型肝炎で死亡すること自体は避け難いものであったとして、過失相殺の法理を適用して、県の賠償額を減額しています。