医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.102、103】

今回は、術後管理について、医師の責任が認められた判決を2件紹介します。

No.102の判決では、手術中のくも膜の破損や、ラトケ嚢胞を全部摘出したこと自体の過失についても原告側は主張していましたが、裁判所はこれらの過失は否定し、ただし、合併症の危険の高い手術方法を選択したのであるから、通常以上に十分な術後管理を行うよう配慮しなければならないと判示しました。

No.103の判決については、判例タイムズ1210号67頁の解説によると、一審の福岡地裁では担当医師の術後の管理の過失を肯定して、4500万円余りの支払を院長の相続人に命じた判決が出ましたが、控訴審の福岡高裁では、過失を否定して患者遺族の請求を棄却したようです。

最高裁判所は、医師の過失を認めたうえで、審理を福岡高裁に差し戻しました。

この場合、民事訴訟法325条3項により、最高裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差し戻しを受けた裁判所を拘束しますので、福岡高裁は、医師に過失があるという判断に拘束され、この判断を前提として、因果関係や損害賠償額について審理することになります。

カテゴリ: 2007年9月10日
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