医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2025年1月10日
選択のポイント【No.518、519】

今回は、説明義務違反が争点となった裁判例を2件ご紹介します。 No.518の事案では、被告歯科医師は、カルテの開示を拒絶した点について、患者の威圧的言動から、カルテを開示した場合には、歯科の正常な業務に支障が出るおそれがあったこと、患者が相談したとする歯科医師の助言内容は、被告の歯科医師の治療方法を...

2025年1月10日
No.519「脳動脈瘤流入血管クリッピング術を受けた患者が術後感染症により死亡。術前及び術後の説明義務違反に基づく慰謝料を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所令和2年11月26日判決 医療判例解説(2021年12月号)95号65頁・ウェストロージャパン (争点) 医師に術前の説明義務違反があったか否か 医師に術後の説明義務違反があったか否か *以下、控訴人兼附帯被控訴人(1審原告)を◇1ないし◇4、被控訴人兼附帯控訴人(1審被告)を△と表記...

2025年1月10日
No.518「診療契約に伴う付随義務あるいは信義則上の義務として、歯科医師に診療経過の説明及びカルテの開示をすべき義務違反が認められた地裁判決」

東京地方裁判所平成23年1月27日判決 判例タイムズ1367号212頁 (争点) 診療契約に伴う付随義務あるいは信義則上の義務として、歯科医師に診療経過の説明及びカルテの開示をすべき義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和37年生まれの男性)は、平成19年6...

2024年12月10日
選択のポイント【No.516、517】

今回は多胎妊娠に関する裁判例を2件ご紹介します。 No.516の事案では、医師は最初のNSTの際にドップラーにより児心音を確認したと証言しており、母親の外来カルテの同日の欄には右鼠蹊部やや上方と臍部左外側に心音を確認したことを示す×印の記載が存在しました。 しかし、裁判所は、このカルテの同日の欄に、...

2024年12月10日
No.517「減胎手術の後、人工妊娠中絶手術を受け、1児も出産するに至らず。減胎手術の際に太い穿刺針を使って多数回の穿刺を行った医師に、母体に対する危険防止のために経験上必要とされる最善の注意を尽くす義務に違反したと認定した高裁判決」

大阪高等裁判所令和2年12月17日判決 医療判例解説96号(2022年2月号)101頁 (争点) 医師が減胎手術において16ゲージの穿刺針を用いて約30回にわたり妊婦の腹部を穿刺した行為につき、母体に対する危険防止のために経験上必要とされる最善の注意を尽くす義務に違反したか否か *以下、原告を◇1お...

2024年12月10日
No.516「一絨毛膜性の双生児の第一児に周産期の脳性麻痺を原因とする四肢体幹機能障害が残り、第二児は胎内で死亡。医師に超音波断層法による検査を行い、その後も継続的に胎児の経過を観察すべき注意義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成10年12月14日判決 判例時報1681号131頁 (争点) 最初のNSTと同日(平成4年9月3日)の診察における医師の注意義務違反の有無 *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) ◇2(◇1の母)は、平成4年(以下、特段の断りのない限り同年のこととする。)2月...

2024年11月 8日
選択のポイント【No.514、515】

今回は、手術のリスクへの対応に関する医師の過失(注意義務違反)が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.514の事案では、裁判所は、手術において、最低限どのような血圧目標値を設定すれば、患者の脳梗塞の拡大、悪化を防ぐことができたかについてはこれを具体的に確定することのできる資料はないと指摘しなが...

2024年11月 8日
No.515「頸椎症性脊髄症に対する椎弓形成術を受けた後に患者の視力及び視野機能が低下。術後合併症予防措置を講じなかった医師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所令和5年3月23日判決 医療判例解説109号(2024年4月号)11頁 (争点) 医師に術後合併症予防義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1ないし△3と表記する。 (事案) ◇(平成27年5月当時58歳の男性・会社勤務の税理士)は、平成26年8月から腰痛により医療法人社団...

2024年11月 8日
No.514「もやもや病に対する間接吻合法による血行再建術を受けた患者に右半身麻痺、失語症等の後遺障害が残る。手術を担当した医師らに血圧管理上の注意義務違反を認めて、病院側に損害賠償を命じた高裁判決」

大阪高等裁判所令和4年10月27日判決 医療判例解説106号(2023年10月号)129頁 (争点) 医師に血圧管理上の注意義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和45年生まれの男性・団体職員・症状固定日当時40歳)は、平成18年頃から、時々、右視野の欠損症...

2024年10月10日
選択のポイント【No.512、513】

今回は、気管挿管に関連して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.512の紹介にあたっては、一審(平成28年3月29日神戸地裁判決・出典ウエストロー・ジャパン)も参考にしました。 No.512の事案では、因果関係も争点となり、病院側は医師の善管注意義務違反と患者の重篤な後遺障害の発生...

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