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「患者の安全を守る」

今回は、「人は誰でも間違える」「医療の質」に続き、米国医学研究所のリポートとして翻訳出版された「患者の安全を守る」をご紹介します。

前2冊においては、職場環境の視点を見逃さないように指摘しているものの、その対処法については詳細に言及されていませんでした。そこで、患者を安全にケアするために必要な職場環境をデザインする際のガイダンスを提供したのが本書です。

本書は、医療提供において大きな部分を占め、医療システムに欠かせない要素であるナースの労働環境に焦点を当てています。看護スタッフのあるべき配置水準、看護師のマネジメントへの参加、現場システムの再設計などの勧告を提示しています。

そして、勧告のすべてを実行することによって、ナースの労働環境の中に必要な多くの患者の安全相互強化策が以下のリストのようにつくられるとしています。

(ナースの労働環境の中で必要な患者の安全対策)

  • 安全を重視する経営陣
  • リーダーシップおよびエビデンス・ベースト・マネジメントの構造とプロセス
  • 効果的な看護リーダーシップ
  • 適正な人員配置
  • 継続学習と判断支援のための組織的なサポート
  • 多職種協働を推進するメカニズム
  • 安全を推進する仕事の設計
  • 患者の安全を強化し続ける組織文化

なお、Executive SummaryのPDFファイルが米国アカデミープレスのホームページからダウンロードできますので、よろしければご参考になさってください。

(「監訳者まえがき」より抜粋)

わが国においても、医療安全の確保のためにさまざまな対策が計画され、実施されてきた。2006年度の診療報酬改定では、看護職の人員配置基準が見直され、看護要員の実質配置が導入された。IOMリポートの勧告は、普遍的な内容を含んでいるものであり、わが国においても大きな示唆をもたらすものと確信している。 

「患者の安全を守る 医療・看護の労働環境の変革-Keeping Patients Safe : Transforming the Work Environment of Nurses- 」

米国ナースの労働環境と患者安全委員会 医学研究所/著 
アン・ペイジ/編
日本医学ジャーナリスト協会/監訳
井部俊子/監訳

税込価格:
\3,780 (本体 : \3,600)
出版:
日本評論社
サイズ:
A5判 / 387p
ISBN:
4-535-98242-2
発行年月:
2006.8

目次

全体の概要 患者の安全は今も脅かされている

第1章
看護—患者の安全を担っている職種
第2章
看護の労働環境に患者安全を組み込む
第3章
患者をケアするナース—ナースはどこで、どんな仕事をしているのか
第4章
変革型リーダーシップとエビデンス・ベースト・マネジメント
第5章
職員の能力を最大限に活かす
第6章
エラーを予防し、減らすための労働・作業空間のデザイン
第7章
安全文化の創出と維持
第8章
勧告を実行するためのポイントと必要とされる研究
カテゴリ: 2006年8月24日
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