今回は、樋口範雄教授と児玉安司弁護士のもとに集まった研究会が重ねてきた研究成果として出版された書籍「患者の権利と医療の安全」をご紹介します。
本書の序章では具体的な事例から従来の法的思考を問い、第Ⅰ部では患者の権利をめぐる論点、第Ⅱ部では国際化や医療技術の発展に伴う課題の諸論点が検討され、第Ⅲ部では古くて新しい課題である医療事故の「解決」のあり方について諸外国の議論を含めて論じられています。
そして、最終章は物理学者ハイゼンベルクの次のような言葉を引用して結ばれています。
「自然科学では、よいそして実りのある革命は、まずある狭い輪郭のはっきりした問題をとくことに限ったときに、しかも最小限の変更にとどめるよう努力したときにだけ、ただそのときだけ遂行され得ます。歴史においてもまた、最も永続的な革命は、ただ狭く限られた問題を解決し、そしてできる限りわずかしか変更しないようなものであるはずだと、私は考えることができます。」
興味を持たれた方は是非ご覧になってみてください。
(「はしがき」より抜粋)
本書では、...従来医療者との対立強化の文脈で捉えられてきた「患者の権利」論が、医療者と市民が共に歩むことを志向した議論にもなりうる可能性や、医療事故をめぐる説明や謝罪が患者とその家族だけではなく医療者をも立ち直らせる契機になりうることなどを論じている。
ISBN: 978-4623059584 目次
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